外信抹消印図鑑

2009/11/07

外信抹消印図鑑 No.11 : 長崎・白抜格子 NS75A・タイプⅡ

‘ジャパン・111’のもう1点の落札品(Lot.1842 最低値20,000 スタート値・落札値31,000)。

   

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                NS75A・タイプⅡ・後期                 

          S091107a_2

 

 

長崎局で、1875年5月に使用された同局の外信抹消第1号印。小型の白抜格子で、白抜き線の数は2×3(黒地の数は12個)。その姿から‘小型ゴルフボール’とよばれることが多い

 

このタイプの原型に近いと思われる印影が次の画像。

                 NS75A・タイプⅡ・初期                 

        S091107b

     

このタイプには2つのタイプがあるようだ。1つは1875.5.7のカバーに見られる印影で直径が約16ミリ(タイプⅠ)で全体が正円形ではなくやや角ばった形をしている。もう1つが、5.31のカバーに押された、サイズが一回り小さい13~14ミリのもの(タイプⅡ)で、こちらは画像のようにきれいな正円形である。2つは同一の印顆が変化したものかもしれないが、黒地(特に中央の2個)の大きさか全く違うので異なる印顆である可能性の方が高いように思われる。ともに数は多くないが、タイプⅡの方がより少ない。

 

今回の入手品は、タイプⅡの黒地部分に特徴的な斜めのひび割れが見られる印影。これも直径は約14ミリである。

 

 

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2009/11/06

外信抹消印図鑑 No.10 : 横浜・白抜十字 YH78A

‘ジャパン・111’の落札品(Lot.995 最低値8,000 スタート値15,500 落札値34,000)。

  

外信抹消印をタイプ別に集め始めてからずっと探していた印影。少ない目打(エスパルト紙・P.9s)で「高くなるかも・・・」と心配し、少し高めに入れておいて大正解!

  

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                YH78A・初期(?)                 

        S091106a

 

    

横浜局で、1878年9月頃~79年初めの使用例が確認されている白抜十字。旧小判切手の5銭までと10銭の無地紙やエスパルト紙に見られる外信白抜十字はほとんどがこのタイプで、集めるのに苦労はない。

 

このタイプの典型的な印影が次の画像。

                YH78A・中~後期                 

    S091106b_2  

   

西野本に載せられているものとほぼ同じ特徴を持つ印影で、単片上やエンタイアの印影はほとんど全てがこのような崩れた姿である(最終期にはさらに貧弱になる)。同著で著者も述べておられるようにこれが原型とは到底考えられず、長い間‘原型に近い’と思われるものを探していた。

 

この印は、○で囲んだ部分のひび割れが最大の特徴。また、黒地の内側のラインが黒地の内側をえぐるようにカーブしているため、白抜線の外周に近い部分がすぼんで見えるのも特徴的。今回の入手品は、それらの特徴が見られるので、同じタイプと考えてほぼ間違いないだろう。印の直径は約23ミリである。

 

   

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2009/11/03

外信抹消印図鑑 No.9 : イニシアルN・N/6A

7か月ぶりの‘外信抹消印図鑑’。

(※JAPEXでのオークションの入札は、「JPS」は、Lot.102の到着便カバー1点で落札。「ジャパン」はLot.203・995・1842の3点で、203の狸2銭の縦書印はスタート値2番札で敗退、他の2点の外信抹消印の単片はスタート値時点ではリードでした。)

  

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               イニシアルN  N/6A 

                 

        S091103a

 

    

長崎局で、大型イニシアル印の次に現れたタイプで、長崎局の小型タイプでは‘7C’と共に比較的よく見られるポピュラーなタイプ。使用時期は、1886.8.13~1887.1.30を確認している。

 

長崎局のイニシアル印の中では満月に近く丁寧に押された印影が多いタイプで、旧小判の中~高額面にきれいに押されたものがオークションにもしばしば出品されるので、入手は難しくない。

  

外側の黒地の1方が半分くらい欠けて短くなっているのが最大の特徴。他に、下図の白い□で囲んだ3か所に特徴的な欠損があるが、この3か所の欠損が揃って見られるものは少ない。

   

    

       S091103b_2

 

    

  

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2009/04/03

外信抹消印図鑑 No.8 : 横浜・二重リング YH82A

前回と同じく使用時期が大きく分かれている抹消印

  

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              横浜・二重リング  YH82A

 

                  Ⅰ期                

        S090403a

   

                  Ⅱ期                

        S090403b

 

    

   

極細い線が二重になっている横浜局の抹消印。リングの直径は、外側が約21ミリ内側が約18.5ミリ

 

西野本発行当時は、まだ1882.1.24のカバーしか見つかっていなかったので、記号は‘YH82A’と分類されているが、その後1877.6.61880.10.21の使用例が確認されている。使用例は上記3点のみだが、単片でも数が極少なく、横浜局の抹消印では1,2を争う稀少印である。これまで見た単片上の印影はほとんどが部分影で、満月に押されたものは極々少ない。

 

上掲の画像でⅠ期としたものは、1876~77年頃に使われたと思われるもので、太丸枠十字・YH76Eと重ね消しにされている。小判切手では、黒1銭・オリーブ2銭やエスパルト紙に押されたものはこの時期の可能性が高い。

  

Ⅱ期の方の台切手は1879.6.30発行の3銭なので、当然後期の方の印影。白抜十字・YH81Aの後期印影と重ね消しにされている。Ⅰ期の印影と比べると、リング銭が太くなっているのが見て取れる。3銭上の印影はこれが唯一の確認例。

  

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2009/03/13

外信抹消印図鑑 No.7 : 横浜・リング十字 YH77D

分類の難しい抹消印の場合、台切手の種類や用紙が判別の大きなキーポイントとなることも多い

  

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              横浜・リング十字  YH77D

 

                  Ⅰ期                

        S090314a  

                エスパルト紙 P.11s×10

 

                  Ⅱ期                

        S090314b

                 木綿紙(茶紙) P.10

    

   

直径約21ミリの細いリングに細い十字を組み合わせたパターン。大きさが普通サイズ切手の横幅とほぼ同じなので、切手上にフルストライクされたものは少ない。

 

この消印は、1877年に1度使われた後、3年以上たってから再び使用されるという変わった使われ方がされている。

 

上掲の画像でⅠ期としたものは、最初期に使われたと思われる印影で、リングや十字部分に歪みのない整った姿をしている。台切手はエスパルト紙。この時期の使用例は、1877.5.11の旧小判5銭貼米宛カバー(秋元コレクション)が知られているのみである。

  

Ⅱ期の方の台切手は木綿紙なので、当然1880年に再使用された時期の印影。この時期の印影では、リングや十字部分に歪みが見られるものが多い。歪みがあることから、十字部分の材質は金属製とみられているが、リング部分もその可能性がある。使用例は、1880.8.12~12.3まで数点確認されている。旧小判切手では、3・50・茶1・紫2銭、他の額面でも薄紙や木綿紙に押された印影は確実にこのⅡ期のものとなる

  

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2009/02/25

外信抹消印図鑑 No.6 : イニシアルK・K/2C

イニシアル印の中では、‘K印’の分類が最も難しい。

分類のポイントとなるのは、‘全体のサイズ’と‘欠損や割れ目’なのだが、K印の場合は似たサイズが多く、また際立った欠損や割れ目のないものがほとんどのため、分類には頭を悩まされ続けている。

  

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                イニシアルK  K/2C 

                 

         S090225a

    

    

K印の初回は、比較的特徴のはっきりしたもので・・・。

 

1882年11~12月のデータがある。西野本では、「おそらく独立タイプではなく、2Bの後期印影だろう」と推定されている。直径は約18ミリで、正円形に近い。下の画像の白いで囲んだ黒地の先端の角度が狭く、右側中央の黒地がすべてのK印の中で最も横長となっている。また、縦の白抜き線の縁が直線でなく、図のの部分で左の黒地の方へ膨らんでいるのも大きな特徴。で囲んだ部分にある割れ目は、押された時期によって見えにくいものもある。

  

稀少度は、K印の中で中程度ぐらいだろうか。

   

        S090225b             

   

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2009/02/12

外信抹消印図鑑 No.5 : 長崎クロスロード NS75C

鳴美から『小判切手と外郵印 Ⅲ(秋元信二郎コレクション)』が刊行され、これで全3巻が出揃った

かつては‘花形スター’であった外信印。果たして、これを契機に少しばかりの‘復権’はなるであろうか・・・。

 

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               長崎・クロスロード  NS75C                  

          S090213a

                     仮名「イ」

    

長崎局最初のクロスロードで、外信初年度の1875年10月と11月の2通のヒギンス宛カバーが知られている。サイズは約23ミリとかなり大きく、普通サイズの切手では、よほどうまく押されないと全影は入らない。黒地が太く、たくさんの割れ目がある。黒地の外側の先端が丸いカーブを描いているが、これは長崎局のクロスロードだけに見られる特徴である。

 

長崎局の抹消印の中でも1,2を争う少ないタイプ。特にこの印は、1枚貼りの場合は切手と封の両方にかかるように、また、複数枚貼りの場合は2枚にかかるように押されることが多かったのか、5割前後の印影が多く、単片上に満月に押されたものは少ない。

  

 

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2009/02/01

外信抹消印図鑑 No.4 : イニシアルY・Y/7A

外信抹消印、特にイニシアル印の場合は、タイプの稀少性と人気は正比例しない。

前回紹介の‘バンブーY(Y/6G)’など、それこそ満月美印がいくらでも存在するタイプだけれども、オークション等での人気は高い。

タイプ別の稀少性が認識されていないことも大きな要因だが、伝統郵趣の一環としてイニシアル印を数枚だけ持つような場合、少なさよりも見た目の美しさがより好まれるのだろう。

 

今回は、もう1つの‘バンブーY’。

 

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                イニシアルY  Y/7A                  

          S090201a

    

    

1887年1月~7月の使用例があるタイプで、この印にも明瞭な‘バンブー模様’がある。前回紹介の‘Y/6G’とよく似ていて、2つのタイプを混同しているコレクターも多い。

 

2つのタイプの違いは、まずサイズ。Y/6Gの方は直径約19ミリだが、このタイプは直径約20ミリで、一回り大きい。もう1つは、Yの枝の開き方の違いで、こちらの方が広い。このタイプも6Gと同様に形の崩れがなく、すっきりした美印が多いが、サイズがやや大きいため左右どちらかが切手からはみ出してしまい少し欠けて押された印影が多い。

  

このタイプも少なくはないが、6Gほどには見かけない。6Gとこのタイプの存在比率は4:1ほどだろうか。

 

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2009/01/28

外信抹消印図鑑 No.3 : イニシアルY・Y/6G

旧小判8銭は、きれいな印影の外信抹消印に苦労する切手である。 

外国郵便(香港・ハワイ宛8銭)用’として発行された切手だが、当時の外信の大部分を占めるUPU加盟国宛では半端料金となり他の額面と混貼されたためか、単片上に満月で押されたものが極めて少ない。加えて、濃い刷色なので、たとえかかり具合が良くてもすっきり見えないものが多い。

 

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                イニシアルY  Y/6G                  

          S090128a

   

 

横浜のイニシアル印で、1886年11月~87年7月の使用例がある。直径は約19ミリ。

   

形がすっきりと整い、竹の茎の水平断面のような模様を現す印影が多く、‘バンブー’という愛称がつけられている。イニシアルYの中では圧倒的に数が多いタイプで、‘イニシアルYの代名詞’のような存在となっている。他のタイプと比べても、満月かそれに近いものの割合が多く、このタイプではかかり具合の悪いものを探す方がむしろ難しい。

 

バンブー模様に関しては、印影による個体差がないので、インクパッドの転写でないことは明らかである。印材は分かっていないが、使用頻度が大きいのに他のタイプのY印に多い欠損・ひび割れが見られないことから、このタイプには他のタイプと異なる何か硬い印材が使われた可能性が高い。

  

数はたくさんあるので集めるのに苦労はないが、後期に使われたものにはこのタイプの特徴であるバンブー模様のはっきりしないものもあるので、なるべく模様のはっきりしたものを選びたい。

 

次回はもう1つの‘バンブーY’。

 

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2009/01/17

外信抹消印図鑑 No.2 : 上海5枚プロペラ・SH85C

「外信抹消印の満月印などたくさんあって、集めるのに苦労はないだろう」と思われる向きも多いだろう。しかし、・・・。 

実際にタイプを意識して集めたことのある方にはお分かり頂けるかと思うが、これがなかなか難しい。満月印の多いタイプは決まったタイプばかり。満月印のごく少ないタイプも多いし、中には満月印など見たこともないようなものまで存在する。

未入手タイプの印影を見るとき、「これで妥協すべきか、否か?」の葛藤が常につきまとう。

 

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                上海・5枚プロペラ  SH85C                  

            S090117a_2   

       

No.1と比較しやすいように、もう1つの上海5枚プロペラ‘SH85C’。

   

これも、前回と同じく上海局ではポピュラーなタイプで、集めるのに苦労はない。1885年8月ころより使用された。ほとんどが、日付印の押されない印刷物での使用で、単片上の印影も、3銭以下の低額面切手がほとんどである。小判切手では、旧小判3銭以後に発行された切手に押されている5枚プロペラ印はこのタイプ。

画像の印影は、直径24ミリの円に収まるほどのかなり大きいサイズ。一般的には、直径20ミリほどの、これより2回りほど小さいサイズのものが多い。一般的に、消印のサイズは‘大 → 小’と変化するので、原型はこのような大型のサイズであった可能性が高い。また、黒地(プロペラの羽根)の太さもこのように太いものからSH77B(前回紹介のタイプ)と見分けがつけづらいほどほっそりしたものまである。このように、さまざまな形態が見られることから、この印は使用頻度が多かったか、かなり長期に渡って使用されたことが想像できる。黒地同士が成す角度はほぼ均等で、SH77Bのようなバラツキは少ない。 

ことによると、このタイプは1印顆ではない可能性もあるが・・・、それは今後の研究課題であろう。

 

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2009/01/12

外信抹消印図鑑 No.1 : 上海5枚プロペラ・SH77B

外信抹消印の単片上印影の収集方針は、基本的に‘1タイプ1点’。西野本で、記号を与えられているタイプは無声印・イニシアル印合わせて約180。その中には、初期・後期で形状の大きく異なるものや印色違いも存在する。また、東京小型アステリスクは緑・黒印ともに形のヴァラエティーが多い。さらに、西野本では記号を与えられていないものも存在する。それらすべてを1点ずつで集めるとしても、収集対象は300近くになるだろう。

外信抹消印を‘台切手揃い’で集められている方もいて、自分もそうしてみたい気持ちも無くはないが・・・。そうなれば、気に入らない状態のものまで集めざるを得なくだろうし・・・、それは本意に沿わない。人により価値判断の基準は異なるだろうが、自分にとっては、‘より多く集める’ことよりも‘1タイプ1点をすべて満足のいくもので揃える’ことの方がより意欲を掻き立てられる。

  

このような考えで収集を進め、現在ではメインナンバーのタイプはほぼ集められた。もちろん、まだ不満足な印影のものが圧倒的に多いが、「このタイプの代表的な印影はこれだ!」と自信を持って見せられるものも全体の2割ほどに達している。

外信抹消印図鑑’では、そのような‘抹消印の特徴を知ってもらうためのサンプル’として薦められる印影を順次(未入手のものは入手次第)紹介する。使用局・年代はランダムなのでご容赦願いたい。

夢は‘究極のサンプル集’。このシリーズのNo.が300になるころその夢に近づく!

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                上海・5枚プロペラ  SH77B                  

           S090112a

 

初回は、‘上海5枚プロペラ・SH77B’。

1877年12月の使用例がある。上海局の抹消印の中でもよく見られる消印。上海の5枚プロペラには、1885年に使われたもう1つのタイプ(SH85C)があるが、こちらの方が放射線がいくらかほっそりしていてスマートな印象を受ける。2つのタイプは、台切手によって区別できるものが多いが、台切手だけでは判断できない場合、後期のSH85Cの中には時期や押され方によりこれと紛らわしいものもあるので注意が必要だ。このタイプの場合、下図の白い○の部分の形状に特徴があり、この部分が一致すればこのタイプと特定できる。また、赤いの部分は欠落している場合が多い。また、隣同士の放射線の角度は、45°くらいのものから90°以上になっているものまであり不揃いであるのもこのタイプの大きな特徴。

台切手は、鳥切手以降の手彫や旧小判の黒1銭・オリーブ2銭に多い。小判切手では5銭や10銭のものがあれば珍品である。

  

        S090112b

     

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